>団体案内 >お問い合わせ >サイトマップ
どんなに生きにくさを抱えても、
住みたい場所で愛する人とずっとふつうに暮らし続けることができる街づくりを目指す。
特定非営利活動法人ふわり
HOMEへ

街の中でふわりふわりと考えるvol.36「輪廻する温もり」

NPO 法人ふわり 理事長 戸枝陽基



 ハックの家にて朝礼を受ける

 父が末期ガンだとわかって2 週間で、あっけなく逝って。
 その父との思い出をゆっくり反すうして1 年半後、「最近やっと、心が落ち着いてきたわ」と言うようになったすぐ後に。母が眠るように逝った。

 母の葬儀で、喪主として、兄弟に助けて貰いながら葬儀を取り仕切り。すべてが終わって実家に帰り、疲れ切って台所の椅子に座り込んだときに。
 両親と僕を含めた7 人の兄弟が、毎日その日起こったことをわいわいと報告し合いながら、奪い合うようにご飯を食べた、あの懐かしい日々を突如思い出した。
「幸せ」というのは、きっと。何気ない日常の中にこそある。

 そして、その時は、何気なさ過ぎて気付かないのかも知れない。

 貧乏で、しみったれていて、思い出したくもない暮らしだと思っていた風景が。なぜかたまらなく愛おしく思えた。
 その瞬間に、突き上げるような悲しみが胸に飛来して、唸るように、ひとりで泣いた。
 父と母の。さり気なく、時に厳しい愛情に満ちた温もりに、もう二度と触れることができないことを。大きな信頼を寄せて寄りかかっていた、倒れるはずのない木が、突如なぎ倒されたような思いで、恐怖した。

 あれから6 年経つ。僕は、実家にほとんど寄りつかなくなってしまった。

 実家の台所を見ることが嫌だからだと思う。そこに、幸せの残像を見ながら、もう、それがないことを再確認することが嫌だからだと思う。 

 それなのに。あの頃の暮らしや。ふるさとの情景を。夢で見る回数が、すごく増えている。諦めようとすればするほど、強くつよく、乾きにも似て、あの温もりを求める。

 東日本大震災の被災地に行った。建物が、仕事が、暮らしが、関係性が、歴史が、そして、温もりが。冷たい海の大いなる力になぎ倒されていた。

 あの日の僕以上に。被災地の人達は皆、突き上げるような悲しみが胸に飛来しているはずなのに。

 すぐ隣に。誰かが強くつよく温もりを配ってあげないと、消えてしまいそうな小さく弱くなる温もりがあるから。自分の胸が張り裂けんばかりの悲しみを抱いていても。みんな必死に、誰かを想っていた。

 父と母の。掛け替えのない温もりを失っても。僕は今日、生きている。それは、また、新しいたくさんの温もりが、僕の心を温めてくれているからだと思う。

 そして、その温もり達と生きている今が、温もりの残像より、自分をより育んでくれる確信に支えられ、父母やふるさとの戻らない思い出の日々を強くつよく思いながらも。今日を生きているのだと思う。

 被災地の人達が。強くつよく。誰かを想い、今以上に、新しい温もりの連帯を繋いで行けますように。そして、その温もりの連帯が。生き延びた命をひとつも無くすことなく、より生かす動力になりますように。

 たくさんの祈りと。自分に出来る精一杯の連帯を。被災地に届けます。

 未来は変えられるから。深い悲しみを。ふるさとの思い出を。その人が存在した温もりを。忘れるのではなくて、自分の中で大きくより良いものにして。誰かに渡していく。

 時間が掛かってもいいから。少しずつ、少しずつ。



一つ前のページへ戻る
FirstUpload 11/10/01-23:40
LastUpdate 11/10/07-17:16


ふわりってどんなとこ >ふわりの取組を知ろう >ふわりの活動予定 >ふわりの活動レポート >ふわりに参加しよう

Copyright © NonProfit Organization FUWARI All Rights Reserved.
Script by Petit CMS