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元気が出る『行動援護』の話し

〜外出支援からホームでの暮らしまで〜


2月4日から6日の3日間、滋賀県の大津プリンスホテルにて第5回アメニティーネットワークフォーラムが開催されました。今回はその時に行われたセッションの模様をご紹介します。

■そもそも行動援護とは何なのか?


山口久美(以下、山口):このタイトルを見て、今どき行動援護で元気が出るのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、その辺をご登壇いただいた皆さんの話からうまく引き出していけたらと思っています。まずは行動援護の創設当初からかかわってこられた隥本さんに、行動援護とはそもそも何なのかをお話いただきます。

隥本英俊(以下、隥本):今、私は国立のぞみの園で仕事をしていますが、障害者自立支援法作成時は行動援護の制度担当をしていました。この時に、行動援護という新しいタイプの外出支援という提案を受け、どうやったら利用者にプラスになるんだろうかといろいろと協議をしました。
 外に行った時に突発的な行動に出たり、予測不可能な行動をしたりするなど、行動に著しい制約のある方がいます。そういった方々になんとか対処しようというのが行動援護です。支援の方法が確立することによって、自宅からの移動の際や、通所施設や学校でもそうした行動を抑えることができます。
 行動援護とは利用者の動きを予測し、どういう支援ができるのかを確立していく事業です。そのため、通常の移動支援に比べて高い単価を用意しました。また、支援方法についても手を引くわけではなく、利用者の前後左右に付きながらのサポートとなります。職員には緊張感が必要となることから、時間制約を設けました。
 行動援護をやっていただく方々については、必要なサービスができるようなスタッフでなければならないため、従業者支援研修というものを合わせてスタートさせました。個別支援計画も作ってほしいと求めています。それが次の事業所、家族、学校に引き継がれることによって利用者さんの生活はさらに快適になります。
 行動援護とは単なる移動の手段ではありません。次のステップに上がるための新たな支援技術の確立ということを目的に作りました。

■支援者の養成研修


山口:判定基準では24点中10点以上の方が対象となっていましたが、スタートしてみたところ、佐賀では当初対象者が0人でした。福岡さんは「制度ができたのに、それでは役に立つ制度になっていないんじゃないか」と国会で質問していただきました。その辺のところの思いをお話いただけますか。

福岡たかまろ(以下、福岡):行動援護とのご縁は初当選した2005年で、一番はじめに審議したのが障害者自立支援法でした。当時、北岡さんと戸枝さんが突然私の部屋にやって来られまして、行動援護の問題点についてご指摘をいただき、質問いたしたわけです。その後、順次見直しが行われ、少しずつ用件の緩和がなされてきたことは皆さんもご承知のとおりです。
 もう1つ申し上げれば、当初はサービス提供者側についても参入ハードルが高い制度でありましたので、養成研修を受けていただいた方についてはハードルを下げようということも随時行ってきました。これはこの後の議論にもなりますが、門戸を広げることによってサービスの質は低下していないか、今後検証していく必要があると思います。

山口:対象者を拡大し、事業者には研修をということでやってきましたが、要請研修について少しお話いただけますか。

隥本:行動援護は利用者さんの見立てが欠かせません。だから、ヘルパーになって1年目の方に何かできるのかというと、なかなか難しいです。でも、中にはすごい才能があって、利用者の動向を見極められる方もおられます。ただ、オールジャパンでやる以上は、一定の水準はほしい。
 そこで、養成研修を受けた方については実務用件を短くすることになりました。サービス提供責任者の場合は5年が3年に、行動援護従業者の場合は3年が1年にそれぞれ緩和されます。養成研修は都道府県でもやっていただくことになっていますが、まだやられていない県もあります。国立のぞみの園では国からのお金をいただいて中央研修をしていますが、今年の受講者は約160人ぐらいでした。全国でもまだ1000人程度しか受けていないというのが現状です。

山口:行動援護従事者養成研修は平成24年までの時限付きということでスタートしています。24年になるとなくなるんですね。だけど、隥本さんもおっしゃったようにまだ研修をやられていない県もあったりして、その後のことも考えなければいけない課題です。

■2つの研究から見えてくるもの


山口:行動援護は外出支援からスタートしましたが、そもそもの理念は自己決定ができない方の移動を支援することです。外出だけでなく暮らし全体を支え、しかもその人の暮らしがステップアップしていくことが大事です。
 一方で、外出支援というのは外に出るわけですから相当な刺激と、たくさんのイレギュラーを伴います。難しい支援からスタートしてしまったのかもしれません。もう少し暮らし全体を視野に入れ、個別支援計画をしっかり立てて、生活のベースを整えることから始めたほうがいいのではという話も出てきました。昨年度2つの研究事業が行われています。


 1つは社会福祉法人 北摂杉の子会さんの「強度行動障害を持つ自閉症者の地域移行を支えるグループホーム・ケアホーム、及び入所施設の機能の在り方に関する先進事例研究」です。北海道のはるにれの里さんと、アメリカのノースカロライナ州アルバマーレにあるGHAの取り組みを見学し、先進事例を研究しています。
 そこで見えてきたのは必要なハードを導き出す人、つまり人材というのが重要なポイントだということです。そうした人材がいることで本当に必要なハードが整い、ケアホームをベースに日中活動や社会参加につなげていることがわかりました。
 もう1つは社会福祉法人むそうさんの「行動援護対象者および重症心身障害者のケアホームへの移行における住宅環境および支援システムに関する調査研究」です。積水ハウスさんと福祉関係者が連携し、行動援護対象者の方に合った住宅を考えていこうという研究です。やはりここでも利用する方の障害特性をアセスメントできる人、住環境にどんなものが必要なのかをアセスメントできる人が重要だということに行き着きました。また、これはまだ仮説ですが、発達期の支援が不足していると行動障害がひどくなり、大人になってからのハードのコストが高くなるのではないかという推測をしています。
 2つの研究の結論ですが、今、発達期に十分な支援がなかった方たちが強度行動障害や行動援護の対象となっています。その方たちのアセスメントに基づいたケアホームをきちんと作ることが急務です。また、2次障害にならないための支援を子供の時からやっていくのも重要なポイントです。成人期を見越して総合的な支援体制を作っていかなければなりません。

■国土交通省の新たな取り組み


山口:アセスメントに基づくケアホームを作りたいという話をしていた時に出会ったのが、国土交通省の高齢者等居住安定化推進事業です。そこで、NPOふわりでは「行動援護対象者向けケアホーム等のバリアフリー改修事業」を提案しました。3年間で行動援護者向けのケアホームを12件建て、研修システムの検証、さらには普及啓発活動もしていこうという内容になっています。

岡崎敦夫(以下、岡崎):高齢者等居住安定化推進事業は、平成21年度から始まりました。実は1年目の名前には「等」の文字がなく、高齢者関係の事業として始まりました。それが平成22年度からは高齢者の後に「等」の文字を入れ、子育て世帯や障害者も含めた事業になりました。制度の詳しい中身についてはホームページを見ていただくとして、なぜこんなものを作ったのか、どういうところを使ってもらいたいのかということについてお話したいと思います。
 高齢者の生活を見ていると、ハード(建物)とソフト(福祉)の両方がうまくいかないと人間らしい生活は難しいということで、厚生労働省さんと国土交通省では従来より連携を取ってきました。ですが、ハード・ソフトの一体と言っても何をやったらいいのかがよくわからない。それなら現場の人にアイディアを募ろうということでこの事業が始まりました。
 補助要項を見ていただくとわかりますが、1年目はほとんど条件を付けずにアイディアを出してもらい、それを専門家に審査していただくという流れでやっていきました。その中で定型化できるものに関しては2年目から用件を確定していき、用件に合ったものには補助金を出していきましょうという仕組みを作りました。障害者は1年遅れの平成22年度にアイディア募集をかけ、全国で4件のアイディアが採択されました。その1つが先ほどご紹介のあったNPOふわりの事業です。
 高齢者の場合の現状をお話しますと、1年目には一般型で40件ぐらいのプロジェクトが採択され、2年目には特定型で1万3000件ぐらいの応募が全国からきています。特定型に関しては原則、採択をするということで、高齢者住宅の供給がかなり進むのではと思っています。
 行動援護との関係でいうと、県の住宅担当をやっていた経験から、私は障害者を目に見える形にしたかったんですね。障害者がまちで生活することはプラス側・マイナス側ありますが、周りの人の生活にも基本的にはプラスになるはずだとわかってもらうことが大事です。そんな形でこの制度も使ってもらえたらなと思っています。

■ふわりと積水ハウスがコラボしたケアホーム


山口:昨年度の研究から積水ハウスの田中さんとコラボレーションしまして、すてきなケアホームのイメージができてきました。家づくりに関する思いなども含めて語っていただけますか。

田中眞二(以下、田中):積水ハウスではこれまで身体障害のあるお客様へのバリアフリー対応はやってきましたが、正直なところ、メンタルな障害に対する住環境整備ノウハウはほとんどありませんでした。2年前に戸枝さんから研究事業の協力をしてもらえないかとお声がけいただいて、やっと勉強し始めたという段階です。
 今回、ふわりさんの提案された行動援護対象者向けの住宅整備事業が、国土交通省の高齢者等居住安定化推進事業に採択されました。我々は住宅改修をする立場で参加しました。改修候補となった物件は2階建ての戸建て住宅で、のべ面積は152平方メートルです。
 計画にあたっては、ここにいらしている山口さんに入居予定者のアセスメントをしていただき、それに対して住宅側でどう応えるのかを考えていきました。ふわりさんのほうからは、新しい居住者に対してどのような住環境を整えたらいいのかを評価する「アセスメント体験室」というものをぜひ作りたいというお話がありました。これに5つの居室を加え、計6室を改修することになりました。
 こちらはその内容の一例です。全体的なこととしては五感が過敏で、特殊な感覚を持っているとお聞きしています。外部の刺激をきちんとコントロールすることが必要だということで遮光カーテンや遮音カーテン、音のしにくいカーペットなどを使用しました。スイッチ関係は露出しているとついつい触ってしまうということで、扉を閉められるようにしました。アクリル付きの収納はテレビなどへのいたずらを避けるもので、これははるにれの里さんやGHAの事例を参考にしました。アセスメント体験室については、必要に応じて壁や収納の位置などをいろいろ変えられるようにしたいというご要望をいただき、可動間仕切り収納や可動壁、高さが変えられる洗面台などを提案しました。
 残念ながら、今年度はケアホームの完成にはいたりませんでしたが、この事業は3年間を予定しています。期間内にはぜひとも実現させ、その効果について検証を進めていきたいと考えています。

山口:福祉の側と積水ハウスさんが出会ってできたものもありますが、ほとんどは一般の方のためにあるものを活用しています。住宅メーカー側にはいろいろな技術や素材がありますが、それがどのように活かされるかというところで大事なのは。

田中:ソフトです。身体障害の方の経験からごく自然に考えていたのですが、車椅子aさんの環境を車椅子Bさんに適応して使えるのかというとそんなことはありません。我々の世界でもハードウェアだけでなんとかなるなんて全く思ってなくて、それをきちんと見立てて、適応できる人材がとても大事です。

山口:どちらかというと私たちは建物というところに焦点が移ってしまいそうになりますが、田中さんからは「ハードがどんなに整ったって、暮らす人たちがどういうふうに使うのか、何が必要なのかわからないとだめでしょう」と振り戻された気がします。原点に戻ったという実感をみんなで持ちました。

■的確なアセスメント、マネジメント


山口:今日の話の要となるのは的確なアセスメントとマネジメントです。今は行動援護の対象者を拡大するために判定基準を8点、区分3以上としていますが、それが実際に適切なのか評価できる人はいません。そこをきちんと評価した上で、本当に行動援護が必要な人は誰かを見極めなければなりません。
 ヘルパーさんの養成も大事なポイントですが、それだけではやはりだめです。アセスメントをし、具体的な支援計画を考えていく立場の人がかかせません。つまり、サービス提供責任者のアセスメント力、アドバイス力、マネジメント力を高めていかないと本当に意味のある行動援護にはなりません。どんな人材育成のシステムを作っていったらいいのか、隥本さんいかがですか。

隥本:家も、会社も、学校も含めて、将来にわたるサポートができるような指導者を養成することが必要です。個々の事業所だけにまかせてしまっていたのでは、こうした事業は将来性がなく、誰からも認められないと思います。私どもは新しい形の人材育成のスタイルを考えなければならない時期にきています。のぞみの園としても考えていきたいです。

山口: 湯浅誠さんのツイッターによると、2002年の文部科学省の調査で知的発達に遅れはないが学習面や行動面で著しい困難を示す児童・生徒の割合は6.3パーセントいたそうで、どれだけの子がきちんとケアされているのかと心配されていました。
 これは私が発達障害の方たちを支援してきて受けた印象ですが、この6.3パーセントのうちの一定割合は大人になると引きこもりになっているのではないかと感じています。深刻なのは親御さんが亡くなった後で、おそらくガス・水道・電気は止まり、食べ物もなくなっていくことが予想されます。
 このように今は行動援護の対象になっていませんが、実は行動面で支援が必要な方というのは一定割合います。そういう人たちのこともやはり福祉が受け止めていかないと、やがては生活保護や貧困の対象になる可能性もあります。

■これからの行動援護はどうあるべきか


山口:いろいろ話してきましたが、今後の課題としては判定基準の再評価、人材育成とコンテンツの開発、知的に遅れのない方への対応、発達期の早期介入などが出てきています。福岡さん、本当に必要な人に必要な支援を届けるためにはどうしたらいいとお考えですか。

福岡:行動援護の利用については、市町村や事業所ごとにだいぶバラつきがあるようです。そういう意味ではもう一度原点に返って、行動援護サービスとはどうあるべきかを検証する必要があると思います。資格要件等については現時点で供給が追いついていないわけですから緩和は必要ですが、その上で人材をどうやって育てていくのかが課題です。
 サービス提供責任者には現場に出るのではなく、マネージャーとしてのノウハウを蓄積していただきたいです。また、今は事業所ごとにノウハウが共有されていると思いますが、それをシステム化し、みんなで共有できないかということも考えています。国としてもある程度関与しながら、厚みのある支援にしていきたいです。

隥本:全国的な事業として展開することを考えると、ぜひ福岡先生にお願いしたいのは差別化です。行動援護に関するものはサービス管理責任者以上というように、上に対する差を作ることがこれからの事業展開には一番必要だろうと思います。そうでなければ単なる移動の手段になってしまいます。

山口:行動援護は5年も経っているのにと言われるかもしれませんが、今もまだまだ議論が足りていないし、中身の検証も足りていません。でも、丁寧な議論と実践を積み重ねていけば、知的障害、精神障害、発達障害、脳機能障害の支援理念と科学性を確立できるのではないかと考えています。将来的にはもしかしたら行動援護は発展解消して、それぞれのサービスに生まれ変わっていくのかもしれません。私たちは誇りと自信を持ってやっていくべきです。
 昨年10月、行動援護環境研究会を発足させました。皆さんにご参加いただいて、一緒に議論を積み重ねていけたらいいなと思っています。これからも行動援護については、ふわりの機関紙で逐次情報をアップしていきます。


福岡たかまろさん国会質問!
・佐賀では対象者が0人?!
  行動援護判定基準24点満点で10点 → 8点への引き下げで対象者拡大を

・しかし、事業者が足りない → 資格要件の緩和措置
  行動援護従事者養成研修
  サービス提供責任者 経験年数5年以上を 受講で3年
  行動援護ヘルパー   経験年数3年以上を 受講で1年

パネリスト
  隥本英俊さん
  国立重度知的障害者総合施設のぞみの園総務部長
  行動援護サービス成立時、厚労省障がい福祉課長補佐

  福岡たかまろさん(参議院議員)
  行動援護サービス開始当時、対象者拡大のために国会質問してくださいました!
  想いを共有できる人が大事。

  岡崎敦夫さん
  (国土交通省・前住宅環境整備室長)
  「高齢者等居住安定化推進事業」と行動援護の関係は?

  田中眞二 さん
  (積水ハウス(株)・総合住宅研究所納得工房住生活研究G リーダー)
  「行動援護ハウス」Love に注入! あの名言をもう一度!

コーディネーター
  山口久美さん
  スノードリーム代表)


目的>行動に著しい制約のある方の支援手法の確立
 ・行動の予測と対処
 ・実践での支援(複数の支援者による支援)
 ・個別支援の作成 
  ・他の事業への引継(通所事業等)
 ・利用者及び家族の支援確立
  (・就労(学校)先への支援)

問題点
 行動援護と外出支援のすみ分け
 新たな行動援護の確立
 長期の支援と短期(1〜2年)の支援
 低年齢時の支援(早期療育)

今後の養成研修
・指導者の養成
(見立ての確立と支援計画のモデル化)
・支援計画は個々個人に応じて作成し、
 次の支援者に引き継ぐ

・指導者は国が改めて、カリキュラム
 を作成し、全国で同じ指導を行う
・事業の平準化
・ヘルパーの養成
・ 都道府県研修で対応



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