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特定非営利活動法人ふわり
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街の中でふわりふわりと考えるvol.33「脳機能障害の方と共生する社会を夢見て」

NPO 法人ふわり 理事長 戸枝陽基


 15年以上前。僕が駆け出しの施設職員だった頃。

 当時は、自閉症の支援の仕方なんて、僕自身、全くもって、わかっていなかった。彼らが、パニックという名の、混乱状況になっても、ただただ、見守るしかなかった。
 僕が勉強不足だったということもあるかも知れないけれど。もし仮に、必死に本などを読んだとしても、当時は、今思えばトンチンカンな支援法しかなかったので、きちんとした支援はできなかったろう。
 
 皮膚刺激に過敏で、身体接触が苦手な人が多い自閉症の人に、スキンシップが足りないから人嫌いになるんだとか言っちゃって、やたら抱っこを勧める「抱っこ法」とか。
 「ウルトラC 難度だから年中やっちゃいけない」なんて断りながらも、体罰も刺激として有効だなんて書いちゃってる何とかメソッドとか。そんなのばかりだった。

 そんな有様だったから。知的障害福祉を生業にした僕は、混乱する自閉症の人達と、まさに格闘をする毎日だった。

 自宅から大声を上げて飛び出してしまうようになってしまったS さん。家族も疲れ切り、愛知県最大の入所施設にショートステイした。
 帰ってくると、安定剤を多量に服薬するようになったために、ずっと目がトローンとしている。それでも、何かあると、爆発的にパニックになる。
 混乱しながら、「アー!アアー!」と僕に何かを訴えてくる。そんなことを言っても何の効果もないことを体験的に知っているのに、混乱した僕は「落ち着きなさい!」と声を荒げる。まさに、修羅場。
 
 ある日、S さんがひどいパニックになった。いつものように、ダメな支援者の僕は、声を荒げる。
興奮したS さんが、その日その時は、なぜか倉庫に走っていった。
 「倉庫で何するの!」と僕がさらに声を荒げながら走っていくと。彼が、車の牽引用のロープを倉庫から必死に引き摺り出している。僕が倉庫に駆け込むと、彼が、そのロープを僕に押しつけながら叫んだ。
 「シバッテ!シバッテクラハイ!」

 彼は泣きながら、さらに、そのロープをずるずると、医務室に引き摺って行き、医療用ベッドに自ら横たわって叫んだ。「シバッテクラハイ!シバッテクラハイ!」
 僕は、どうすることもできなくて。でも、彼が入所施設でパニックの度に何をされてきたのかは、よくよくわかって。
 「できません!縛るなんて、できません!」と叫びながら、目に涙を浮かべて、途方に暮れるしかなかった。

 彼だけじゃない。

 ふわりでヘルパーを始めてからも。混乱して、一睡もせずに動き回るようになってしまった自閉症の人を、家族に変わって一晩中、自宅で押さえ込んでいるなんて、支援をしたことがある。
 髪を引っ張り、噛みついてくる人を、車が好きだという情報だけを頼りに、車の後部座席で僕が押さえ、運転手がひたすら走り周り、家族を休ませるなんて支援をしたことがある。
 そんな、無理が続かずに。結局、入所施設や精神の病院を家族が選択し、二度と会えなくなってしまった人もいる。

 僕は。ダメな支援者である僕は。無知であるということで。いくつものいくつもの過ちを自閉症の方の支援者として犯して来ている。来ているのだ。

 誤解しないで欲しい。自閉症の方々は、決して混乱の中に生きる危険な人達ではないのだ。

 彼らの感じ方をじっと見つめ、彼らなりの暮らし方を認め、彼らなりの文化と共生する。そうすれば、xお互いに平安に共存できる人達なのだ。

 そして、その方法が、今ははっきりしている。たくさんの過ちの償いとして、僕には、その方法を広める責任があると。勝手に自負している。

 これから、自閉症の方々と出会う家族が、支援者が、すべての人が。彼らの素晴らしい世界を楽しみ愛し合いながら、共に生きることができますように。

 そして、その先に。認知症、脳外傷、精神疾患、発達障害。様々な脳機能障害の方の暮らしをよりよくサポートできる社会が作れたらいいな。そのために力を使いたい。今、そう考えている。



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